白石研究室

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連絡先

〒615-8510
京都府京都市西京区
京都大学桂キャンパス
京都大学大学院工学研究科
電子工学専攻 白石研究室
TEL/FAX:
075-383-2272/2275

研究室所在地

京都大学桂キャンパス
AクラスターA1棟223号室

桂キャンパスへのアクセス

    はじめに

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      当研究室は2020年3月31日で創立10年となります。大阪大学(大学院基礎工学研究科)での3年半、京都大学での6年半の間、一貫した研究室の研究方針として「量子力学・固体物理・相対論などの現代物理学を自在に駆使しながら、基礎から応用まで幅広いスペクトルで研究を推進し、世界に誇れる業績を発信する」ことを掲げています。この視点から、特に海外研究機関との連携や応用を視野に入れた企業・国公立研究機関などとの共同研究にも積極的に取り組んできました。研究テーマの詳細は該当ページを参照していただければ確認いただけますが、スピン角運動量を用いて新しい固体物理現象を発見し、スピントロニクスに限らず固体物理学をさらなる高みに引き上げることを目標としています。事実、研究室ではこれまでに世界初のSi及びGe中の室温純スピン流輸送の達成、21世紀の新しい物質相であるトポロジカル絶縁体におけるヘリカルスピン偏極の観測、酸化物2次元電子系を介した世界初のスピン輸送の実現、金属超薄膜とイオントロニクス技術の融合によるチューナブルなスピン軌道相互作用の実現など、数々の傑出した先駆的業績を挙げPhysical Review Letters誌、Nature Materials誌、Nature Communications誌、Nano Letters誌など、世界屈指の学術誌・科学誌に数多くの論文を発表しており、特に半導体量子スピントロニクス領域では世界を牽引する研究室と認知されています。これらの業績は幸い国内外から高く評価していただき、研究室の仲間は数々の賞を受賞してきました。また国内外の様々な新聞や雑誌、ニュースなどで我々の研究成果やアクティビティが紹介されています。またこれまでにアジアだけでなく様々な国から留学生・外国人研究員を迎えており真に国際的な研究環境が整備されていることも大きな特徴です。


      白石研究室の学生諸君には、基礎的な理論だけでなく最新の物性理論を積極的に勉強・吸収し、きびきびと実験して素晴らしい結果を得て、よい論文を書き、国際会議でよい発表をする、という循環をできるだけ早く体得してほしいと思っています。研究室では随時自主ゼミなどで重要な基礎理論の講義を行っており、 理論に興味のある学生諸君のニーズにも応える環境整備に努めています。しかし理論の勉強だけでは研究には不十分であることを念頭においてもらいたいと思っています。学部3回生までは「勉強すること」が学生諸君に要求されていることでした。しかし研究室では勉強することはよい研究をしていく必要条件でしかなく、十分条件ではありません。研究は未知の事象を発見することを目標としていますから、既知の事象を理解するだけで満足することなく自ら世界に情報を発信していくことに邁進することが必要です。もう1つの研究室からの重要なメッセージは、よい論文を書きよい発表をして初めてよい研究は完結する、という意識を持ってほしいということです。いくらよい結果を得てもそれを効果的に世界に発信できなくては、せっかくのよい結果も正当な評価を得られないことがままあります。そのためには英語での論文執筆・口頭発表のスキル向上は極めて重要であり、研究室は全力で学生の能力伸長をサポートしています。順調に研究が進捗した多くの場合、4回生のうちに国内学会で口頭発表を行い、修士課程1回生終了時までに筆頭著者で論文を執筆し国際会議での発表を行うことが普通です。このように実績を積めた場合、民間企業への就職はもちろんのこと、博士課程に進学し研究者の道を選択した場合に大変有利であり、日本学術振興会(JSPS)の特別研究員への採用はかなり近いものとなります。実際、過去の当研究室からの採択率は抜群であり、経済的不安を抱えることなく安心して研究に打ち込める環境を整えやすくなります。研究室は博士課程への進学を希望する学生を広く募集しており、近年では博士課程への進学率は50%を大きく超えますが、上記のように博士課程進学を希望する学生のサポートを手厚く行っていますので、博士号を取得してアカデミック・企業を問わず世界に雄飛したい学生諸君には大変好適な環境であるといえると思います。


      研究は先に述べた通り未知の物理現象との戦いですので必ずしも常に努力と成果が比例することは保証されていません。しかしむしろこういった状況を楽しみながら自分の知力・気力・体力を十全に活用し、世界に自分のオリジナルな成果を発信していこう、という気概を持った学生諸君には当研究室にぜひ参加してほしいと思っています。ここまで読んできた学生諸君は、白石研は厳しい研究室だ、という印象を持ったかもしれません。もちろん世界を相手に競争をするわけですから厳しさは必要ですし、ここぞという場面で限界まで頑張る必要もあるでしょう。一方、「きびきびと」と書いたように効率的にうまく時間を使い、人生を豊かにする趣味や教養も同時に身につけてほしいと強く願っています。研究や仕事だけの人生もまた虚しいものです。きびきび研究をしてよい成果を得たら、さっと気持ちを切り替えて趣味やスポーツに集中し頭のリフレッシュをして、また次の研究成果目指して努力する、という公私ともに充実した学生生活を送ってください。その一環として、白石研究室ではスポーツやコンパを通じて研究室の仲間同士で交流を深めリベラルかつインターナショナルなカルチャーの醸成にも留意しています。


      研究とは真に自立した個人が自主自律の下で推進していく極めて豊かな知的創作活動です。この創作活動の結晶である研究成果は困難をくぐり抜けて得られたものほど輝きを増すものです。当研究室は研究活動における学生の自主性を十二分に尊重し互いに切磋琢磨する場であろうとしていますが、この自主性は京都大学を京都大学たらしめている本質的価値でもあります。真に京都大学的な研究室の発展を共に推進していこうと いう学生諸君を待っています。

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    研究紹介

  •   現在、当研究室が枢軸的研究テーマとしているのは以下の通りです。
    • (1)電子の有する電荷自由度とスピン自由度を制御するスピントロニクス、特にシリコン、ゲルマニウム、分子などIV族半導体を用いたIV族スピントロニクス(Phys. Rev. Lett. 2013, Phys. Rev. Applied 2014, Phys. Rev. Lett. 2015, Phys. Rev. B 2016, など)

    • (2) 電荷の流れを伴わないスピン角運動量のみの流れである純スピン流の基礎物性研究と、その制御による新機能デバイスの創出(Nature Materials 2017、Phys. Rev. Lett. 2016など)

    • (3) 熱流とスピン流の絡み合いによる新しい熱電スピントロニクス(Phys. Rev. Applied 2018)

    • (4) 物質中の位相と対称性によって創発される諸物性現象、特に逆スピンホール効果やスピン軌道相互作用の制御、またトポロジカル絶縁体中のヘリカルスピン流の基礎物性に関する研究(Nano Lett. 2014, Nature Communications 2018など)

  •   (1)-(4)に関してはこの順番に基礎学理の開拓と理解に重心が移っていますが、いづれも現在世界的に大きな注目が集まり、基礎・ 応用両面で非常に盛んに研究されているスピントロニクス領域、 トポロジカル量子物性領域、及びその関連研究領域が研究の主戦場になっています。(1)では スピントランジスタの動作と再構成可能論理回路の創出を応用上のターゲットとして企業との共同研究などを行っています。 (2)では時間反転対称性を有するが故に理想的にはエネルギー散逸のないカレントである純スピン流を半導体・金属などで室温で 生成・伝播させ、その制御と基礎物性の理解、超低消費電力新機能デバイスの創出を目指しています。 (3)では熱で純スピン流を生むスピン依存ゼーベック効果を中心に、熱電とスピントロニクスを融合したあたらしい物性物理科学領域の探索を行っています。 (4)では固体中の相対論効果 である逆スピンホール効果やスピン軌道相互作用(これは空間反転対称性とも関連しています)、また幾何学的位相であるベリー 位相によって発現するトポロジカル絶縁体などを研究対象とし、 高効率なスピン=電荷変換や、真にdissipationlessな情報伝播スキームの構築を目指しています。 研究を推進する上では国内・海外と幅広い連携を進めており、特に研究室の国際化、国際共同研究、大学院生の海外派遣を積極的に進めています。
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    研究設備の紹介

  • 1.Electron beam evaporation (Py, Pt, Pd, Ta, Cu, Au, Ti, Fe, CuNi, Al, AuSb etc.)

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  • 2.Pulse laser deposition (Bi, BiSb, W, Ta etc.)

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  • 3.Joule heating evaporation system

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  • 4.Ar-milling system with end point detection

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  • 5.Polishing machine

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  • 6.Plasma reactor

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  • 7.Precise digital scale

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  • 8.Annealing systems up to ~1200 C

  • 8 Annealing systems up to ~1200 C 2.jpg
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  • 9.Wire bonding

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  • 10.Dicing machine

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  • 11.Physical Property Measurement System PPMS (1.8 - 297 K, magnetic field up to 9T)

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  • 12.Vibrating sample magnetometer

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  • 13.JEOL JES-FA200 Electron spin resonance spectrometer (100 - 470 K, 8.75 - 9.65 GHz, magnetic field up to 1.3 T)

  • 13 JEOL JES-FA200 Electron spin resonance spectrometer.jpg
  • 14.Four-probes station with magnetic field (4.2-297 K, magnetic field up to 0.3 T)

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  • 15.Four-probes station (4.2-297 K)

  • 15 Four-probes station .jpg
  • 16.Thermally-induced spin transport measurement system

  • 16 Thermally-induced spin transport measurement system.jpg
  • 17.Probe station

  • 17 Probe station.jpg
  • 18.Cryostat for spin transport measurements (4.2-297 K, magnetic field up to 1 T)

  • 18 Cryostat for spin transport measurements .jpg
  • 19.Precision Semiconductor Parameter Analyzers

  • 19 Precision Semiconductor Parameter Analyzers.jpg
  • 20.Laser microscopy system

  • 20 Laser microscopy system.jpg
  • 21. Raman spectroscopy system

  • 21 Raman spectroscopy system.jpg
  • 22. Optical microscopes

  • 22 Optical microscopes.jpg
  • 23. X-ray photoelectron spectroscopy

  • 23 X-ray photoelectron spectroscopy.jpg
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